ゴールデン、ジャンガリアン…名前は知っていても、「実はハムスターって世界に何種類いるの?」と聞かれると答えられない方は多いのではないでしょうか。ペットショップで見かけるハムスターはほんの一部で、その裏には知られざる仲間たちがたくさん暮らしています。
実は、ハムスターは生物学的に7つのグループ・全18種類に分けられます。よく見るモコモコの小さな姿だけでなく、体長30cmを超える巨大な野生種や、絶滅が心配されている希少な仲間まで、その世界はとても奥深いものです。種類ごとの性格や大きさを知らずにお迎えしてしまうと、「思っていたより大きくなった」「なかなか懐いてくれない」といったすれ違いが起きることもあります。
この記事では、日本で飼える代表的な5品種の性格・寿命・カラーから、世界中の野生に生きる13の希少種まで、全18種類をまるごと図鑑としてまとめました。読み終える頃には、あなたにぴったりの一匹を見つけるヒントがきっと見つかります。これからお迎えを考えている方も、すでに一緒に暮らしている方も、ぜひ最後まで楽しんでいってください
ハムスターは7つのグループ・全18種類にわかれる
ハムスターは、ネズミの仲間の中でも「キヌゲネズミ」というグループに属する動物です。ネズミとの一番の違いは、両ほほにある大きな「ほほ袋」と、ほとんどの種類でしっぽが短いこと。さらに、一生伸び続ける4本の前歯を持っているのも特徴です。
このキヌゲネズミのグループは、さらに7つの仲間(属)にわかれていて、そこに全部で18種類のハムスターが含まれています。
- ゴールデンハムスターの仲間:ゴールデン、ブラント、ラッデ、ニュートン
- ヒメキヌゲネズミの仲間(ドワーフハムスター):ジャンガリアン、キャンベル、ロボロフスキー
- モンゴルキヌゲネズミの仲間:チャイニーズ、ソコロフ、チベット、タカネ、オナガ、タビ
- クロハラの仲間:クロハラ(この仲間唯一の種で、最大級のハムスター)
- アルタイキヌゲネズミの仲間:アルタイ、エーフェルスマン
- カンシュクハムスターの仲間:カンシュク(中国だけに暮らす珍しい種)
- キヌゲネズミの仲間:トリトン
それぞれの仲間は、暮らす環境に合わせて体の大きさや毛質、しっぽの長さなどが違います。ここからは、この分類にそって1種類ずつ詳しく見ていきましょう。
日本で飼える!人気の5大品種
日本のペットショップで出会えるのは、次の5種類です。それぞれの暮らしぶりや飼うときのポイントを見ていきましょう。
ゴールデンハムスター(シリアンハムスター)
- 仲間:ゴールデンハムスターの仲間
- もともとの生息地:シリア、トルコ南部
- 体の大きさ:体長15〜20cm、体重80〜150g
- 寿命:2〜3年
1930年にシリアで見つかったことから、海外では「シリアンハムスター」とも呼ばれています。今も野生のゴールデンハムスターはシリア周辺にいますが、生息地が減っていることから数は少なくなっており、保護が必要な種とされています。
体はハムスターの中でもしっかりとした大きめサイズ。前足の爪が発達していて、穴を掘ったり食べ物をつかんだりするのが得意です。背中の左右にはにおいを出す器官があり、自分のにおいをこすりつけて仲間や縄張りを確認します。
性格と飼い方のコツ
賢くておっとりした子が多く、人にもなじみやすいので、ハムスターを初めて飼う方に一番おすすめの品種です。手に乗せてスキンシップを楽しみたい方にもぴったりですが、体が大きい分、幅60cm以上のゆったりしたケージを用意してあげましょう。
ただし、ゴールデンハムスターはかなりの一匹暮らし好き。縄張り意識がとても強く、オスとメスが顔を合わせるのは繁殖のときだけです。それ以外で同じケージに2匹以上入れると激しいケンカになり、命に関わることもあるので、必ず1匹につき1つのケージで飼ってあげてください。
カラーバリエーションがとにかく豊富
長い間品種改良が重ねられてきたので、驚くほどたくさんの毛色があります。
- キンクマ:日本で一番人気のカラー。ビスケットのような明るい薄橙色で、性格もおっとりしている子が多いです。
- ホワイト:黒い瞳の「ブラックアイ」と、赤い瞳の「アルビノ」がいます。
- シナモン:ミルクティーのような明るい茶色。瞳は赤みがかった美しいブドウ色です。
- ノーマル:茶・白・黒が混ざった野生本来の色で、ほおに黒いラインが入ります。
- クロクマ:全身つやつやの黒。足先だけ白く、靴下を履いているように見える子もいます。
- チョコレート:深みのある濃い茶色で、希少性の高いレアカラーです。
- シルバーグレー:青みがかった上品なグレー。
- アイボリー:ホワイトより温かみのあるクリーム色。
- ダルメシアン:白地に黒の斑点が入る、世界に一匹だけの模様。
- バンデッド:体の真ん中に白い帯が入る模様。黒バージョンはパンダのような愛らしさです。
- べっ甲:黄色と黒の斑模様。生まれる子のほとんどがメスという珍しいカラーです。
毛質にも個性があり、ふわふわの「長毛(アンゴラ)」、シルクのような光沢の「サテン」、細かく波打つ「レックス」など、色だけでなく手触りでも選べます。
ジャンガリアンハムスター
- 仲間:ヒメキヌゲネズミの仲間
- もともとの生息地:シベリア、カザフスタン、中国
- 体の大きさ:体長6〜12cm、体重30〜40g
- 寿命:2〜2.5年
1993年ごろから日本で人気が広まった、手のひらサイズの小型ハムスターです。もともと寒い地域に暮らしていたため、足の裏まで白い毛でおおわれているのが特徴。背中には黒い一本線が入ります。
性格と飼い方のコツ
穏やかで人懐っこい子が多く、手の上でおやつを食べてくれることも。省スペースで飼い始められるため、日本で一番人気が高い種類です。賢くてトイレのしつけができる子もいます。
社交的な面もあり、相性が良ければ複数飼いできることもありますが、縄張り意識もあるので基本は1匹ずつのケージ飼いが安心です。
基本の4カラー
- ノーマル:茶色ベースに背中の黒いライン。野生本来の色です。
- ブルーサファイア:青みがかった上品なグレー。
- パールホワイト:白ベースに背中がグレー。冬になると全身が真っ白になる子もいます。
- プディング:クリーム〜薄いベージュの優しい色合いで、丸っこい印象になります。
キャンベルハムスター
- 仲間:ヒメキヌゲネズミの仲間
- もともとの生息地:中国東北部、ロシア、カザフスタン
- 体の大きさ:体長7〜13cm、体重30〜45g
- 寿命:2〜3年
見た目がジャンガリアンによく似ているため、お店でも混同されがちですが、生物学的にはまったくの別種です。
ジャンガリアンとの見分け方
- 耳:ジャンガリアンは小さく薄い耳、キャンベルは大きめで先がとがった耳
- しっぽ:ジャンガリアンはふわっと丸く、キャンベルは根元がしっかりしている
- 瞳の色:キャンベルには赤い瞳の子が多い
- 背中のライン:キャンベルの方がくっきり濃く入る
- 顔つき:ジャンガリアンはキツネ顔、キャンベルは丸みのあるタヌキ顔
- お腹の色:ジャンガリアンは白、キャンベルは灰色がかっている
性格と飼い方のコツ
活発で自己主張がはっきりしており、警戒心も強め。縄張り意識が強く、身を守ろうとして噛むこともあるため、飼育経験のある方向けとされています。ただ、毎日優しく声をかけて根気強く付き合ってあげれば、少しずつ心を開いてくれる奥深い魅力を持っています。
カラーバリエーションが充実
ノーマル、真っ黒な「ブラック」、赤い瞳の「アルビノ」、くすんだ黄色の「赤目イエロー」、青みがかった「ブルー」、濃いココア色の「チョコレート」、淡いベージュ、希少な「ダヴ」「シャンパン」、白地に模様が入る「パイド」など、非常に個性豊かな毛色が揃っています。
ロボロフスキーハムスター
- 仲間:ヒメキヌゲネズミの仲間
- もともとの生息地:ロシア、カザフスタン
- 体の大きさ:体長6〜8cm、体重15〜30g
- 寿命:2〜3年
ペットとして飼えるハムスターの中で世界最小のサイズです。眉毛のような白い模様が目の上にあり、ちょこまかとすばやく動き回る姿がとても愛らしい種類です。
性格と飼い方のコツ
とても臆病で警戒心が強く、動きもすばしっこいので、手に乗せて触れ合うのには向いていません。無理に捕まえようとせず、元気に動く姿を眺めて楽しむのがおすすめです。
一方で、縄張り意識が他の種類よりかなり低いという珍しい性質を持っています。小さいころから一緒に育った兄弟姉妹や、相性の良い子同士なら、同じケージで仲良く暮らせることもあります。ただしその場合は、餌皿や回し車、隠れ家を頭数より多めに用意し、ケージも広めにしてあげましょう。
カラーは野生本来の色のほか、まれに真っ白な「ホワイト」や斑模様の「パイド」もお店に並びます。
チャイニーズハムスター(モンゴルハムスター)
- 仲間:モンゴルキヌゲネズミの仲間
- もともとの生息地:中国北西部から内モンゴル自治区
- 体の大きさ:オス10.5〜11.5cm、メス9〜10.5cm。オス35〜41g、メス28〜34g
- 寿命:約2年
かつては実験動物として使われていましたが、その個性的な魅力から今はペットとしても親しまれています。
他のハムスターとの一番の違いは、ネズミそっくりのスマートな体形と長いしっぽです。約3cmのしっかりしたしっぽを器用に使って、物をつかんだり木登り中にバランスを取ったりできる、運動神経の良い種類です。オスは成長すると体の後ろが大きく発達するため、後ろ姿でオスメスが見分けやすいのも特徴です。
性格と飼い方のコツ
臆病でシャイですが、基本はおとなしくて賢い性格です。環境に慣れると人の手にもなじみやすく、噛みつく心配が少ない穏やかな品種でもあります。おしっこのにおいが他の種類より少ないのも飼いやすいポイントです。
動きがすばしっこく、細いすき間からも抜け出してしまうことがあるので、金網タイプより天井までしっかり囲えるケージがおすすめ。高い所に登るのも好きなので、落下でのケガにも注意してあげましょう。群れで暮らす動物ではないため、複数飼いは避けて1匹ずつのケージで飼うのが基本です。
カラーは、灰色がかった茶色の「ノーマル」、淡いグレーの「シルバー」、グレーと白のまだら模様の「シルバーパイド」、黒目のままの「ホワイト」など、他の品種に比べると控えめです。
世界の珍しい野生ハムスター13種
日本のペットショップではまず出会えない、あるいは保護のために飼育が制限されている野生のハムスターが13種類存在します。その姿や生態を紹介します。
クロハラハムスター(ヨーロッパハムスター)
体長20〜34cm、体重250〜600gという、全18種類の中で最大級のサイズを誇る種類です。寿命も約8年ともっとも長生きです。お腹の毛が真っ黒なのが名前の由来で、危険を感じると後ろ足で立ち上がって威嚇する野性的な一面もあります。かつては日本にも輸入されていましたが、気性が荒くハンドリングが難しいことに加え、野生での数が大きく減ってしまったため、現在は絶滅が心配される種類として保護の対象になっています。
ブラントハムスター(トルコハムスター)
西アジアやトルコに暮らす、ゴールデンハムスターにそっくりな種類です。体は一回り大きく、体長17〜23cm。胸のあたりがつやのある黒色をしています。現地では農作物を荒らす害獣として駆除されることが多く、数が減って保護が必要な状態です。ペットとしての流通はなく、主に研究用として飼育されています。
ラッデハムスター(シスカウカシアンハムスター)
体長は最大約28cmと、クロハラに次ぐ大きさです。丸みのある大きな耳と、両肩にキリッとした2本の黒いラインが入るのが特徴。上半身は黄褐色、お腹は黒く、なんとも印象的な配色をしています。
ニュートンハムスター(ルーマニアハムスター)
体長14〜18cmで、頭から背中にかけて一本の黒いラインがくっきり入ります。生息地がかなり限られていて数も少ないため、絶滅が心配される種類として厳しく保護されており、日本への輸入や個人での飼育はできません。
ソコロフドワーフハムスター
体長7.7〜11.4cm。以前はチャイニーズハムスターと同じ種類として扱われていましたが、1988年以降の研究で骨格や遺伝子の違いが分かり、別の種類として分類されました。灰色から黄褐色の毛に、背中の細い黒いラインが特徴です。
チベットキヌゲネズミ(カムドワーフハムスター)
体長約10cm。チベットの標高が高い場所で暮らす野生種で、寒さに対応するため耳がとても小さいのが特徴です。ほほ袋も他のドワーフハムスターに比べて小さめです。
タカネキヌゲネズミ(ラダックドワーフハムスター)
体長約10cm。チベットキヌゲネズミと見た目や生態がとてもよく似ており、研究者の中には同じ種類として考える説もあるほどです。高地に適応した小さな耳とほほ袋を持っています。
オナガキヌゲネズミ
体長8.5〜13.5cm。名前の通り、全18種類の中でもっともしっぽが長い種類です。細身の体に長いしっぽが伸び、見た目はよりネズミに近い印象です。乾燥した草原などに暮らしています。
タビキヌゲネズミ(アルメニアンハムスター)
体長8.5〜12cm。背中の毛が美しい灰色をしていることから、「アルメニアンハムスター」とも呼ばれます。しっぽがやや長めで、全体がふわふわとした柔らかい毛でおおわれています。
アルタイキヌゲネズミ(モンゴルハムスター)
モンゴルや中国北部の乾燥地帯に暮らし、複雑な巣穴を掘って生活しています。稲などの農作物を集団で食い荒らすことがあるため、現地では害獣として扱われており、日本への輸入は行われていません。
エーフェルスマンキヌゲネズミ(カザフハムスター)
体長13〜16cm。もっとも柔らかい毛並みを持つといわれ、触るとまるでベルベットのような手触りです。胸に赤や茶色の斑点が入ります。性格は穏やかですが、縄張り意識は強めです。
カンシュクキヌゲネズミ(ダンスハムスター)
体長13〜14cm。中国のごく限られた山岳地帯にしか暮らしておらず、生態がほとんど分かっていない「幻のハムスター」です。銀灰色の頭と背中、白い喉元という美しい配色を持ち、木の上で暮らす珍しいタイプではないかと考えられています。
トリトンハムスター(オオナガオキヌゲネズミ)
体長18〜35cmと、こちらもかなりの大型種です。ゴールデンハムスターよりずっと体が大きく育ち、長くがっしりしたしっぽを持っています。農業被害を出すこともあり、主にロシアやアジアの研究室で飼育されています。
後悔しないハムスターの選び方
たくさんの種類を知った上で、実際にお迎えするときに失敗しないための順番をお伝えします。ペットショップのスタッフや専門ブリーダーの多くが勧めているのは、次の順番でチェックすることです。
健康 → 性格 → カラー
まずは健康状態を見る
見た目の可愛さだけで決めてしまうのが、一番よくある失敗です。ケージ全体を見比べながら、次のポイントを確認しましょう。
- 目がぱっちり開いていて、涙や目やにがないか
- 鼻水がなく、呼吸が苦しそうでないか
- 毛につやがあり、ハゲやお尻の汚れがないか
- 歩き方がふらついていないか
次に性格を観察する
健康な子たちの中から、ケージ内での動きを静かに見てみましょう。人が近づいても落ち着いている子はなじみやすい傾向があります。逆に、手や影が近づくとすぐ隠れたり激しく鳴いたりする子は、慣れるまで少し時間がかかるかもしれません。
最後に好みのカラーを選ぶ
健康と性格に問題がなければ、最後にようやく見た目の好みで選びましょう。キンクマ、ブルーサファイア、パイド、長毛など、気に入った色や毛質の子を選ぶのはこのタイミングです。
この順番を守ることで、「思ったより懐かない」「すぐに体調を崩してしまった」といった後悔を減らし、安心して新しい暮らしをスタートできます。
よくある質問(FAQ)
まとめ
世界のハムスター全18種類、いかがでしたか。手のひらに収まる小さなロボロフスキーから、体長30cmを超える野生のトリトンハムスターまで、その姿も性格も驚くほどバラエティ豊かです。日本で暮らす5大品種だけを見ても、おっとりしたゴールデンから警戒心の強いキャンベルまで、それぞれに違った魅力があることが伝わったのではないでしょうか。
もしこれからお迎えを考えているなら、まずは「健康チェック→性格→カラー」の順番を思い出してみてください。見た目の可愛さだけで選ばず、実際にケージの前でその子の動きをじっくり観察することが、長く幸せに暮らすための一番の近道です。気になる品種が決まったら、次はぜひお近くのペットショップや専門ブリーダーに足を運んで、実物と対面してみましょう。
ハムスターは小さな体に大きな個性を秘めた、本当に魅力的な生き物です。正しい知識を持ってお迎えすれば、きっとかけがえのない毎日を一緒に過ごせるはずです。あなたと新しい家族との出会いが、素敵なものになりますように。

